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ヨレヨレおじさんと出会った日
ヨレヨレおじさんとの遭遇は、いまだ新鮮なまま、記憶に焼きついている。

20年以上前のこと。
当時、佐秀会(※)の定期演奏会は、
御茶ノ水にあった日仏会館のホールで行われていた。

小学生だった私は、その日も両親の手伝いと称して、受付近くでうろちょろと遊んでいた。
そこへ、ヨレヨレのポロシャツに、膝がテカったジャージのズボンを履いて、
裸足に埃まみれのサンダルをつっかけた一人のおじさんがやって来た!
ちょっと近所まで散歩に出てきました、という風体だった。
丸いメガネをかけて、まるで、水木しげるのマンガに出てくる河童のようなそのおじさんは、
とてもやさしい、丁寧な言葉遣いで受付の人と話していた。
周りの大人たちは驚き、ざわめき、目を丸くして慌てていた。
あまり物事に動じない(と子供の目には映っていた)はずの母に至っては、
上気した顔でそのおじさんに近づき、サインをお願いしていた。
お母さんがサインなんかもらうんだ!と、びっくりして
「あの人だれ?」と尋ねると、母は「イノウエヒサシさんよ、脚本家の!」と興奮気味に答えた。
その昔、お芝居をしていた母だから、脚本家に会えて喜んでいるのだろうと思った。
周りの大人たちは着飾ってるのに、この人はヨレヨレでボサボサだ、ということに驚いた。
でも、なんだかいい感じがする人だ、と思った。
そのおじさんは、演奏会を途中まで聴いて、また、ふら〜と帰って行った。

後日、そのヨレヨレおじさんが、『ひょっこりひょうたん島』や、
その頃読んでいた『偽原始人』・『ドン松五郎の生活』などの作者の
「井上ひさし」さんだったのだと気づいた。
井上さんと佐藤秀廊先生(当時の佐秀会主宰)とは、
井上さんの東北時代にハーモニカを通じてご縁があったそうで、
佐秀会の名誉会員になっていただいたのだそうだ。

少し大きくなってから、家にあった『吉里吉里人』を読んだ。
方言に馴染みのなかった私にとって、東北弁の文章は手ごわかった。
『吉里吉里人』は中身の面白さよりも、方言を読み下すのに四苦八苦して、
途中で読むのを止めてしまったけど・・・。

それからも、作品を読む度、井上さんがテレビに映る度に、
あの日のヨレヨレおじさんを思い出した。
あの瞬間が、子供心に強烈に焼き付いて、勝手に親近感を覚えていた。
一度でいいから、井上さんのハーモニカを聴いてみたかった。


こまつ座で勉強している知人が、ぽつりと呟いた。

「吸いすぎなんだよ…」



なんだか寂しさが増した。






井上ひさしさん、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。



※佐秀会(さしゅうかい)とは、日本ハーモニカ芸術協会(JHAA)の母体となった団体で
日本の複音ハーモニカの第1人者、佐藤秀廊先生の日本的奏法を研究し周知する
研究家集団。佐藤秀廊先生のファンクラブのようなものから派生したため、
お名前から佐秀会と名づけられた。日本ハーモニカ芸術協会の当時の愛称でもある
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